懐中時計
何を言っているのか気になったから
おじいさんに近づいてみた。
白いヒゲで隠れてる口元が動いた。
「こんな街並みがまだあるんじゃのお。
懐かしい」
周りを静かに見渡しながら言った。
私は早く帰りたかったから
一応、微笑んでから、
気にせず進もうとした。
すると
「お嬢ちゃん、」
声をかけられるとは思ってくて、ピョンってなった。
杖と一緒に持っていた巾着から
なにかを取り出した。
そして差し出していたから
私に渡そうとしているのだと思って
受け取ってみた。