懐中時計


「はっ?!」

「きゃは」

中谷くんとまりちゃんの目がまんまる。

私はあまりにも驚きすぎて心臓がピョンてなった。

手が出ている先をたどると

ホッとした顔の高遠くんだった。

驚いて強く握っていた時計をもう一度強く握って

右手で高遠くんの右手首をつかんだ。

そうしたら、目があって

「あ、ごめん」

口が自由になった。

「なに?」

「いや、何でもない」




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