ひねくれ双子の険しい恋路
『あ、あぁ。急に場所変更されて、体育館倉庫まで行ってたの。遠いから遅くなっちゃった』
これでよし。
「あ、そうなんだ。どんな奴だった?」
“女子複数でした”
なんて言えないよね。
『顔も名前も知らない人。簡単に断ってきた』
「ふーん。お疲れ様」
梨沙はニコッとしてくれた。
『ありがと。これからは、呼び出しは全部あたしが行くから』
「え!?なんで?」
確かにいきなり言われたら驚くよね。
『朝日に変な誤解してほしくないでしょ?』
「う、うん…」
梨沙、顔真っ赤だよ。
このくらいで赤くなっちゃうなんて…。
ねぇ梨沙。
梨沙は気付いてないでしょう?
梨沙は、朝日と付き合ってからだいぶ変わったんだよ。
雰囲気がまるくなったし、素直になったし、可愛くなった。
でも昔から梨沙は、あたしより素直だったなぁ。
「じゃあ、お願いします…」
『そんな改まって言わないでしょ、たかがこれくらいでさ』
「えへへ。ありがとう」
梨沙の幸せそうな笑顔に、あたしは少し満足した。