ひねくれ双子の険しい恋路


――ガチャン。


屋上を出て、階段を降りようとした。



『……何してんの』



階段には、一夜が座っていた。



「朝日が彼女探しに行くって言ったから、途中までついてきた」


『なんで』


「暇だから」



静かな階段で、静かな会話。



『もしかして、朝日との会話聞いてた?』


「もしかしなくてもな」



はぁ……。


思わずため息でちゃうよ。


なんでいつも居るんのかなぁ…。



「お前、ああいうことするんだ?」



……朝日を試したこと?



『別に軽蔑してもいいよ』



朝日は嘘が大嫌い。

だから、いっそのこと嫌われれば恋愛感情だって消えやすくなるって思った。


でも、梨沙にも嫌われちゃうかな―…。



それならそれで、いい。

1人でも大丈夫。



「そんなことしねぇよ」




なんでかな。

一夜のこの一言が、嬉しかった。



…本当は、誰かにそう言ってほしかったのかもしれない。





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