ひねくれ双子の険しい恋路
2.
――ガタンゴトン…。
揺れる電車の中、携帯の横のボタンを押して時間を確かめる。
『3時半…か』
学校を出てから一旦寮に戻って、必要最低限の荷物を持って出た。
梨沙に何も言わないで行くのにはやっぱり罪悪感があった。
だから、置き手紙を残した。
【梨沙へ
この土日、帰らない。心配しないで。
砂希】
…今思うに、梨沙はあたしなんかの事心配してくれるのかどうかわからない。
“心配しないで”
なんて書かなきゃよかったかな。
寮を出た後は、家へ帰るバスを探して時間まで待つ。
駅までバスで行って、また家へ帰る電車を探して時間まで待つ。
……その繰り返し。
で、今乗ってる電車はさっきのりかえた2本目の電車。
《次は~駅、~駅です。お降りの方は~…》
車内放送が流れた。
家に行くにはここで降りて、たぶんまたバスだ。
プシュー。
電車のドアが開いて、あたしは電車を降りた。