ひねくれ双子の険しい恋路
「……ふぅ。久しぶりの帰還、ということで許してあげる」
『あはは、ありがと』
――タン、タン、タン
階段をおりてくる音がした。
「あ?砂希、なんでいるの」
リビングの入り口から入ってきたのは、弟。
現在中2、神谷翔(しょう)。
4人兄弟の末っ子。
あたしのこと呼び捨てなのが気にくわないけど、ちゃんと見分けてくれてる。
『なんでって失礼ね。ただ帰ってきただけでしょ。この土日ずっといるからね』
「「そうなの?」」
お母さんと翔が声をそろえた。
『そうです』
「「梨沙は?」」
また声をそろえる。
できれば聞いてほしくないところなんだけどなぁ…。
いつも一緒にいるから、別々のほうが不思議に見えるんだね。
『今回はあたしだけ。梨沙、彼氏できちゃったし』
「嘘!?だれだれ!?」
「あー、彼氏に梨沙をとられちゃったわけね」
ここでやっと違う反応。
『ほら、すぐそこの家の朝日だよ。翔、別にとられたから帰ってきたわけじゃないから』
「えーっ!!そうなんだ~」
お母さんは目をキラキラさせて、翔は黙った。