ひねくれ双子の険しい恋路


「あ、もうご飯の支度しなきゃ。砂希の部屋、変わってないから荷物置いてゆっくりしててね」


『うん、ありがと』



時計に目をやると、もう5時半近く。


久しぶりの家族が嬉しくて、楽しくて、時間が経つのが早く感じた。



「砂希、ハイ」


翔の声に振り向くと、ゲーム機をポンっと投げて渡された。


『ちょっと、投げないでよ。落ちたらどーすんの』


「まぁいいじゃん。それより、久しぶりに対戦してよ。家じゃ砂希が1番強いんだから」


『しょうがないな、やってあげるか』



――――……



「ただいまー」


この声は、お父さんだ。


「「おかえりー」」


あたしと翔の声が重なった。



「お?帰って来たのか、砂希」


『うん、ただいま。久しぶりー』


お父さんの方を向いて挨拶。


「よそ見してると負けるよ」


『あたしそこまで弱くないから』


あたしは、翔とのゲームに戻った。


お父さんはニコニコして、お母さんの方へ行った。




――温かい。


心がふんわり包まれた感じ。



家を出る前はあんまり気付かなかったけど、久しぶりに帰ってきて、家族の温かさがよくわかった。



でも、何か物足りないのは、きっと梨沙がいないから――…。






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