ひねくれ双子の険しい恋路


『喧嘩っていうか…あたしが一方的に言い逃げした』


「うん、らしいね」


『梨沙からいつ聞いたの?なんて言ってた?』


これがさっきからの疑問点。


「…梨沙には内緒だよ」


『うん』


「金曜日の夕方、電話きたの。ちょうど砂希が家に着くぐらいじゃないかなー」


『…うん』


「“砂希怒らせちゃった”って何度も何度も繰り返して、今にも泣きそうな声だった」


『梨沙、怒ってなかったんだ…』



あんな言い方したから、あたしに対して怒ってるんだと思ってた。



「んで、落ち着いてから話きいて、少し話しておしまい」



――でもね、お姉ちゃん。



『あたし悪いことしたとは思わない』



だから、謝らないよ。



「うん、わかってるよ。砂希の判断は正しかった」



その言葉を聞いて、安心感に包まれた。



ホントは不安だった。

信頼してるお姉ちゃんから、


「あれは砂希が悪かったね」


って言われるかもしれなかった。



それが、怖かった。

目の前で失望されたら…と思うと、不安が押し寄せてきて。



『うん、ありがと』



でも、もう大丈夫みたい。



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