ひねくれ双子の険しい恋路
『どうやったら諦められるかな』
お姉ちゃんのアイスコーヒーの氷が、カランと音を立てた。
「うーん、そうだねぇ…」
あたしの言葉に主語がなかったのに、お姉ちゃんはあたしの言いたいこと分かってくれたみたい。
『嬉しそうな梨沙たち見てて、ほとんど諦められた。だけど、まだ気持ち残ってるの。どうしたら消せる?』
「ムリに消すんじゃなくて、“いい思い出”にするの」
『思い出…?』
よくわからないから、もう1度繰り返して聞いた。
「そう。あの頃あの人の事好きだったな、とか、あの時あの人の事好きでよかったな、って思うの」
――お姉ちゃんらしい。
いい考え方だと思う。
『でもどうやって?』
「砂希の場合は、まず朝日くんに気持ち言うこと!」
……。
はい!?
『……』
まさかそんなこと言われると思わなかったから、驚いて何も言えない。
「気持ちを整理するために、残った思いをちゃんと伝えるの」
『で、でも梨沙と…』
「うん、付き合ってるね。でも砂希の気持ちに梨沙は関係ないでしょ?」
…確かにそうだけど。
あっさり梨沙のことを“関係ない”って言うところがまたびっくり。