ひねくれ双子の険しい恋路


うーん、眠たい。


あとプリント1枚…。



――バタバタバタッ



廊下で走ってる人がいるらしい。


朝から元気だなぁ…。



――ガラガラ、バンッ!


クラスの入口の戸が勢いよくあいた。


うるさ…。

このクラスだったんだ…。



「はぁ……砂希」


『え、梨沙?』


走ってきたうるさい人は梨沙だったの!?


「さ、砂希……ゴホッ」


梨沙はむせこんだ。


『どうしたの?大丈夫?』


「ゴホッ、う、うん。平気。で、いつ帰って来たの…?」


『昨日の夜だよ』


「そ、そうなの…?もしかしたらもう帰ってこないのかと…」


梨沙はちょっと涙目だった。


『そんなわけないじゃん。心配かけてごめん』


あんな言い方して逃げたあたしを心配してくれてたんだね。


「ううん……あっ!朝日忘れてきた…」


そういえば付き合ってから、登校する時は朝日がいる。

日課のようなものなのに、それを忘れてきたんだ…。


朝日より、あたしを優先して走ってきてくれたんだね、梨沙。



なんだか、少しだけ優越感。




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