ひねくれ双子の険しい恋路
『あたしは、梨沙にぶつかってきてほしかったの』
「え?」
『あたしの気持ちに関係なく、朝日が本気で好きなんだってトコ見せてほしかった』
梨沙があっさり引き下がるようなら、たぶん引っ叩いてた。
『もう大丈夫だね、これなら』
あたしは梨沙の頭を軽くなでて、優しく笑ってみた。
きっと今、ホントに笑えたんじゃないかな…。
『じゃ、あたし次の授業屋上でサボるから。じゃね!』
そう言って、朝日の横を通って階段を上る。
「砂希!」
朝日に呼びとめられて、振り返った。
「お前、いい女になったよ!」
『…ははっ!サンキュ!』
意外な朝日の一言をもらって、あたしは屋上の扉を開けた。
――お姉ちゃん。
あたし、ちゃんと伝えたよ。
確かに、スッキリできた。
あたしは、屋上のど真ん中に仰向けになった。
今日は曇りだけど、雲の隙間から太陽が少し顔を出していた。
『まぶし…』
眩しくて、右腕で目を覆った。