ひねくれ双子の険しい恋路
「今日からこのクラスに編入しました、麻生静夜です。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げた。
あそう…せいや…?
麻生って苗字、一夜と同じだ。
あたしは、一夜の方をチラっと一瞬だけ見た。
『……?』
一夜は、すごく驚いている様子だった。
転入生の方をじっと見て、固まってた。
「ねぇ砂希」
『ん?』
隣の梨沙が、小さな声で耳打ちしてきた。
あたしも小さな声で答える。
「朝日さ、あの転入生見てすごい驚いてるんだよね。知ってる人なのかなぁ?麻生くんとも苗字同じだし」
『え…』
朝日の方を見てみると、一夜と同じような顔をしていた。
なんで?
「じゃー席はあそこな」
「はい」
担任が指したのは、窓側一番後ろにあいている席。
「久しぶり、一夜」
「……あぁ」
転入生麻生は指定された席に移動する途中、一夜に声をかけた。
やっぱり知り合いなんだ。
従兄とか…?