ひねくれ双子の険しい恋路
なんだかそのことが気になって、HRの内容が全然頭に入らなかった。
――で、気付いたら席がえも球技大会の説明も終わってた。
席がえ終わったのに、なんであたしは同じ席に座ったままなんだろう。
不思議に思って、梨沙の方を向くと、やっぱり梨沙もそのままで。
『梨沙…席替えはどーなったの?』
「あたしらは変わらずこの席で」
あー、だからここに座ったままでよかったんだ。
『ごめん、ありがとね』
梨沙はきっと、ボーっとしてるあたしの代わりに席のことを言ってくれた。
「どーいたしまして。んでさぁ、1つお願いしていい?」
梨沙の目がきらっと光った。
『な…んでしょうか?』
「あの転入生は、麻生くんとどういう間柄なのか聞いてきて!麻生くんに」
『えー…。なんであたしが』
めんどくさいこと極まりない。
「あたし麻生くんとしゃべったことあんまりないんだもん」
ねっ?とお願いしてくる梨沙。
『…なんで聞きたいの?』
「朝日が教えてくれないから」
…朝日に聞いたんですか。
『ハイハイ、わかりました。聞いてきますよ』
梨沙は1回興味を持つと、飽きるまでしばらくしつこい。
タチがわるいけど、これもあたしの片割れ。
仕方ないか。