ひねくれ双子の険しい恋路


『一夜の双子のお兄さんだってよ』


「えっ双子!?」


梨沙も驚いてた。


『二卵性だからそこまで似てないって本人が言ってた』


「へぇ~。いるんだね、双子」


『そうみたい』



――ガタッ



梨沙と話していたら、席を立つ音が聞こえて、女子が一瞬静かになった。



特に気にすることもなかったから、普通に梨沙との話を続けてた。




「ねぇ、君たち双子なの?」



クラス中の視線を集めてやってきたのは、転入生麻生静夜。


ニコニコしながら、あたしと梨沙の前にしゃがんだ。



席を立ったのはコイツだったのか。

だから女子が一瞬静かになった…と。


でも、女子が静かになったのは確かに一瞬だけ。

今度は、さっきの黄色い声とは裏腹な不満ばっかりの真っ黒な声。



あたしは梨沙と一瞬目を合わせた。



「「…だったら?」」



息をそろえて冷たく返すあたし達。



「おー!息ぴったりだね!!名前、なんていうの?」


冷たく返したのに、笑顔は消えない。


なにコイツ…。


って思ったのは、梨沙もだと思う。





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