ひねくれ双子の険しい恋路
「めずらしいね、サボりなんて」
「まぁな。久しぶりに気分転換?みたいな」
梨沙と朝日は楽しそうに話し始めた。
――不思議。
朝日に告白する前に比べて、全然胸が痛くならない。
自然に諦めがついてるみたい…。
これはホントにお姉ちゃんに感謝しなきゃ。
――グイッ
「来い」
『わっ』
いきなり一夜に引っ張られて、屋上の隅っこに連れてこられた。
ここから梨沙たちは見えないから、死角なんだと思う。
『なに、いきなり』
「……」
勝手に連れてきて無視とかありえないんだけど。
『何もないなら戻る…』
「近づくな」
『え?』
ちょうどあたしの“戻る”という言葉と一夜の言葉が重なって聞こえなかった。
「アイツに近づくな」
一夜はあたしの目を見ずにそう言った。