ひねくれ双子の険しい恋路


ずかずかと近づいてくる2年。


もうこれ殴られること決定な感じ?

なんであたしが何度も殴られなきゃいけないんだよ。



…とか思いつつも動けないこの状況。



「でもグーだとこっちも痛いからタオルでも巻こっかな」

「そーだね。それいい♪」



ちょっと待ってよ。

真面目に暴力とかしちゃうの?


…でも前も叩かれたしなぁ。



「やっちゃえー」
「お願いしまーす!」
「ちゃんと押さえてますよー」


あたしを押さえつけてる1年が楽しそうに声をあげる。

こっちは全然楽しくないわ!!



『…っ』


試しに抵抗して見たけど、全然離してくれない。



「あんた呼び出し係なんでしょー?」

『えぇそうですけど』


グーで殴る役の2年があたしの目の前で話しかけてきた。

それに対してあたしは不機嫌な口調で答えた。



「だったらもう1人分もやらせてもらうから」

「アンタ1人で来たのが間違いだったわね。かわいそーに」


かわいそーって言うくらいなら止めろよ。



『たかが呼び出しでしょ。くだらない』


どうせ殴られるの決定なら本音くらい言ったっていいよね?


「まだしゃべるんだ、その口」

「ユカ、もうやっちゃえば」

「うん言われなくても」


ニヤッと笑った目の前の女は、タオルを巻いた拳をヒュっと振り上げた。



あたしは瞬間的に目を閉じた。




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