ひねくれ双子の険しい恋路


――パシッ


「えッ!?」

「なんで…」



……あれ。

なに?

何が起こったの…?


殴られるはずのあたしが殴られてなくて。

殴るはずの2年2人が驚いた声をあげて。



不思議に思って、そぉっと目を開けた。



「何してんのお前ら」



不機嫌な低い声。

この場にいる誰よりも大きくて、殴ろうとした2年の手を掴んでいた。



「い、いちやくん…」

「なん、で…」


顔面蒼白っていうのはここにいたあたし以外の女子にぴったりの言葉だと思った。



「気安く名前で呼ぶな」



その不機嫌な声は、すごく聞き慣れた声で。



「ご、ごめんなさ…ぃ」



謝った女子の声は、小さくて聞き取れないくらいだった。



「お前らの事を本当の性格ブスって言うんだよ」


低く不機嫌な声に、あたし以外がみんなビクッとした。


その言葉、トラウマになるくらい突き刺さったんじゃないかなぁ…。



そう思いながらも、あたしはただボーっと見てるだけだった。





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