ひねくれ双子の険しい恋路


「それ、同じよーな事してる人もう1人いるのになぁ…」


梨沙は今までとは違って、小さな声でつぶやいた。



『え、何?』


だけど、何をつぶやいたのかは聞き取れなかった。



キーンコーンカーンコーン…



すると、1限を知らせるチャイムが鳴った。

そして、何事もなかったかのように授業を受ける。


だけどあたしは、全然集中できなかった。



なんで麻生は会ったばかりのあたしなんかにあんなこと言ったんだろう。

なんでいきなり「付き合って」?

なんであたしの周りの人を巻き込もうとしてるの…?



分からないことが多すぎな麻生静夜。


それに、1日で男子からの信頼を得るなんて無茶な…。



アレ?

でも、もし本当に信頼を得ることができたらどうなるんだろう。



“見せてあげようか?”

“一夜や朝日から友達が離れて行くところ”



あの時の麻生の言葉を思い出す。


そんなに一夜と朝日が嫌い?

過去に何かあった…?


謎が多いけど、明日の麻生の結果で決まる。



――明日を待つしかない…。






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