ひねくれ双子の険しい恋路
「えー暇だから?」
なんで疑問形なんだよムカつくな。
『じゃあ勉強でもすれば』
適当に言ったあたしの一言が、麻生の表情を変えた。
「…勉強ならいつもしてるよ」
『…?』
麻生は複雑な表情をしていた。
寂しそうな、怒ってるような、悔しそうな…。
なんだ?
「話変えるけど、砂希ちゃんは俺と付き合ってくれるよね」
『…はぁ?』
話飛びすぎ…。
それに名前。
「あーごめんごめん。勝手に名前呼んだらダメなんだっけ」
あたしの不機嫌な顔を見て気付いたらしい。
麻生はムカつくほどにニヤニヤしてる。
――だけど、目は笑ってない。
『名前で呼ぶな。あたしはアンタとは付き合わない。そもそも理由がない』
「いや、神谷は俺と付き合うよ。理由もできる」
とりあえず名前で呼ばれるのは回避できた。
こいつに名前で呼ばれるのはなんかヤダ。
『意味がわからないんですけど』
「本当に付き合わない?」
『そう言ってるでしょ』
「神谷が俺と付き合わないなら、
一夜と朝日から友達みんな奪ってあげるよ」