ひねくれ双子の険しい恋路
――ガラッ
「遅かったな、静夜ー」
「あー、ちょっと迷った」
あたしより少し遅れて教室に入ってきた麻生。
周りの男子と笑ってる。
確かに信頼は回復されてるけど、麻生にとって、その男子達が本当の友達なのかはわからない。
目の奥は笑ってない。
いつ見てもそうだ。
転入して来た日も、さっきも、今も…。
あたしはあの目が嫌い。
ハッキリ言うと、麻生も嫌い。
一夜は普段あんまり笑わないけど、あんな冷たい目はしない。
「俺さ~、彼女できちゃった☆」
……。
静夜の一言が、騒がしい教室を静まらせた。
何言ってんのアイツ…!
「マジかよ!!」
「誰!?可愛いヤツ?」
「ちょっと静夜くん!ホント!?」
「いつから!?聞いてないよ!」
「彼女ってここの学校!?他校!?」
静まる前よりも、うるさくなった教室。
1限目の先生が入ってきても、おかまいなし。
先生が戸惑ってる。
まさかもうバラすなんて思わなかった。
梨沙は興味なさそうにゲームをやっていた。
朝日は一回麻生の方を見て、すぐに課題に戻った。
一夜は…、あたしの方を見ていて、目が合った。
けど、あたしがすぐに逸らした。
なんでこっちを見てたんだろう…。
もう1度、チラッと一夜を見ると、もう別の方を向いていた。
麻生でもなければ、あたしでもない。
ただ、窓の外をボーっと眺めてた。
さっきのはたまたまだったのかも。
「もったいぶらないで教えろよ!」
「そうだよ、聞きたーい!」
なんだ、まだ言ってなかったのか…。
言えば、またクラスがうるさくなりそうだなぁ。