ひねくれ双子の険しい恋路
「おい、神谷。授業中に何をしてるんだ」
先生はゲームをしている梨沙に向かって言った。
『先生、あたしも神谷なんですけど。ゲームしてるほうの神谷に言ってください』
先生、わからないでしょ。
わからないから苗字で呼ぶ。
先生は、あたしの言った言葉に顔を歪ませた。
「……神谷、梨沙。今は問題を解く時間だ。やらないようならその分の成績落とすぞ」
先生の手には、席順が書かれているファイル。
それがないと見分けることなんて無理だもんね。
「センセ、ちょっと、今は危ない状況です」
あんまりにもゲームに必死な梨沙に、笑えてきた。
「ふざけるな!!おい、神谷……砂希。お前もなに笑ってんだ」
ほーら、あたしの名前だって席順のファイルを見てから言った。
『先生、私たち課題はだいぶ前に終わっていますので』
そして偽スマイル。
先生はもう何を言っても無駄だとわかったのか、やっと黙ってくれた。
と、いうことであたしは寝る体勢に入った。