ひねくれ双子の険しい恋路


その背の高い中学男子は、スタスタとこっちの方へ歩いてきた。


「迎えに来た。帰ろ」


『翔……?なんで?』


「俺らの学校、夏に文化祭やるんだ。それの代休が今日」


翔はもうあたしのカバンを持っていた。


『そうじゃなくて…』


「帰るっつったら帰る。ほら、早くしろよ」


ちょっと、話についていけないんだけど。


すると、翔は、

「遅い。早くしろ」

と言って、あたしを立たせた。


『あ、ごめん』


なんかもう頭の中ごちゃごちゃ。

とりあえず、翔に従うことにした。



「じゃ、そーいうことで。砂希のことは他の先生に言ってあるんで後で聞いてください」


先生も怒るのを忘れてポカンとしてた。


そのくらい翔は行動が早かった。


翔はピシャンと教室の扉を閉めた。


それから、教室はうるさくなった。



『ねぇ、なんで来たの?』

「朝日くんからメールもらった」

『……なんて?』


あたしは今日朝日と会ってないはずなんだけど。


「梨沙からいろいろ聞いて、砂希の様子変だって思って俺にメールしたみたい」


『なんで翔?』


「さぁ?“砂希が最近家帰った時どうだった?”って聞いてきた」


あたしは歩きながら翔の話を聞いた。


それで、簡単にまとめると、


梨沙から話を聞いた朝日は、翔とメールをした。

どうやら一夜が朝日に連絡したらしい。

あたしの様子が変だ、と。

それで、今日はもう金曜だし、と思って迎えに来たらしい翔。





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