ひねくれ双子の険しい恋路
「いんじゃない?たまには“らしく”なくても」
「昔っから感情を表に出すことが少なかった、って母さん言ってた」
翔はしゃべる。
あたしは俯いて無口。
「正直に言ってみ?」
翔の口調はすごく優しかった。
『もう…わけわかんない…。ごちゃごちゃ…』
どうやって言ったらいいのか分からなくて、それしか言えなかった。
自分でも何言ってるか理解できない。
「…いろんな感情が混ざって、わからなくなったのか」
翔の言葉にコクンと頷いた。
「大丈夫。そのうち元に戻る」
翔はそう言って、あたしの手を握った。
いい年した兄弟が手を繋ぐのは変だと思われるかもしれないけど、
あたしは翔の手を握り返した。
温かくて、大きくて、
ちょっと一夜に似てるかもって思った。
『…うー…』
「よしよし」
涙があふれて止まらなかったあたしを、翔は引っ張ってくれた。
『…ひっく、ごめ、ん』
うまくしゃべれない。
「…なんか、昔に戻ったみたい」
『え?』
あたしは泣いてて、
翔は笑ってた。