ひねくれ双子の険しい恋路


『うん。あのね…』


静かなリビングで、あたしの話声だけが聞こえる。



あたしは翔に全部話した。

翔は口を挿むことなくただ黙って聞いてた。



「……ふーん」


あたしが話し終えてからの第一声がそれだった。



『……うん』


あたしもなんていえばいいのか分からずとりあえず返事。



「砂希はどーしたいの」


『あたし……?』


…そりゃアイツとなんか仮だとしても付き合っていたくない。


でも梨沙たちは守りたい。


「きっと梨沙とか朝日くんは砂希のこと心配してる」


『いや、でも…』


「絶対心配してる。それでも、これは砂希の問題なんだろ?」


『うん』


あたしの、問題。

それは分かってる。

あたしがみんなを巻き込んだ。



「だったら、砂希が決着付けてこいよ」



……うん。


そうだ。

あたしが巻き込んだ以上、あたしがなんとかしなきゃいけない。


「もっと周りを頼れ、って言っても聞かないだろ」


『……』


翔はあたしのことを見透かしてた。

さすが弟っていうか…。





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