ひねくれ双子の険しい恋路
双子でも、そっくりでも、仲が良くても、ここまでちゃんと向き合ったことはなかった。
梨沙は自分のことを全部あたしに話してくれたけど、あたしはそうじゃなかった。
……だからちょっと不安だけど。
『あのね――……』
朝言おうとしたこと、
一夜とのこと、
静夜とのこと、
今までの態度、
女子の呼び出しのこと、
梨沙はあたしが話をやめるまで黙っていてくれた。
翔に話した時と同じだった。
翔も梨沙も、ちゃんと話を聞いてくれた。
――最初っから、話してればよかったのかもしれない。
……
『これがあたしの隠してた全部』
話し終わると、梨沙は俯いていた。
あたしは、梨沙の言葉を待った。
「なんで……?」
か細い、梨沙の声。
「なんで砂希ばっかりそんな目に…」
『梨沙…?』
俯いていた梨沙は、顔をあげてソファから立ちあがり、あたしに近寄った。
「砂希もなんで黙ってたの!?どうして言ってくれなかったの!?あたしが頼りないから?あたしが信用できないから?」
梨沙はあたしの胸ぐらを掴んで揺さぶった。
『ちが…そうじゃなくって…』
「じゃあ何っ!?ハッキリ言ってよ!!何も知らずに砂希を苦しめてたのはあたしだ、って!!」