ひねくれ双子の険しい恋路


でも、

楽しくて、楽しくて、楽しくて。


あたしの心から、何かが抜けていったのがわかった。


何かは、あたしにも分からなかったんだけど、

――もう寂しくはなかった。



10分くらいずーっと笑って、笑いすぎて疲れた。


それからの記憶はぷつりと途切れた。

意識が吹っ飛んだからね。


でもその前に、梨沙と手を繋いだ気がする。

久しぶりに。


―――――
―――



「そっくりだなぁ、やっぱ」

「梨沙も帰ってきたから、久々に2人そろったの見れた♪」


翔と…たぶんお母さんの会話が聞こえて、目が覚めた。


――パチ。


「「あ、起きた」」


あたしが体を起こそうとすると、右手が重くて上がらなかった。


『……梨沙ー』


気のせいじゃなくて、やっぱり手繋いでたんだね。


「んー…」


梨沙も体を起こした。


「なんか昔に戻ったみたい」


お母さんが楽しそうに笑ってた。


――パチパチ。

「おかーさん!?」


梨沙は驚いてた。

そういえば梨沙とお母さんは久しぶりの対面だもんね。




「おかえりー!!」


お母さんは、あたしが帰ってきたときと同じように、梨沙をぎゅーっと抱きしめた。


「く、苦し…」


うん、やっぱり。


「ごめんごめん、つい嬉しくて。さて、2人とも起きたならご飯にしましょう」


そんな時間まで寝てたんだ。

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