ひねくれ双子の険しい恋路
とりあえずそのメールに、
“生きてるに決まってんじゃん”
って返したんだ。
んで返ってきたのは、
“よかった”
…その4文字。
カッコ悪ぃけど、なんか泣けてきちゃって、1日かけて家に帰ったんだ。
家についたら、母さんがニコニコしながら出迎えてくれたよ。
そん時、俺バカなこと考えてたなーって改めて思ったわけ。
母さんが何か言ったのか、父さんは俺に怒ってこなかった。
だけど、
“母さんに心配かけるな”
って一言。
一夜とは話してない。
その次の日から学校へ行った。
みんな俺が長く休んでたことを心配してくれて、ちょっと嬉しかったなぁ。
……でも、やっぱり変わらなかった。
友達をこっちにつけても、悪い噂流してみても、俺と一夜が比べられることだけは。
だから、もっと苦しめばいいのに。
なんて思ってた。
…いや、思ってる。
その時の一夜の友達と言えるのは、もう朝日だけになってた。
だから、朝日もこっちに取り込もうとした。
――だけど、全然ダメだった。
朝日は…バカだったから。
バカ正直で、
バカ友達想いだった。
だから、誰が何を言っても、
「本人に言われたことしか信じないから」
って言ってた。
「一夜がいないなら、意味ないから」
って。
情けないけど、
少しだけ、
ほんのちょっとだけ、
羨ましかった。
ここの高校に来たのは偶然なんだ。
一夜がここに通うために家を出てから1ヶ月後に、いきなり引っ越しが決まった。
父さんの転勤でな。
それで隣県に移ってきて、一番近いここの高校を受けた。
偶然、一夜と一緒のクラスになった。
――これで、全部だよ」