ひねくれ双子の険しい恋路



――パシャッ


『…!?』


変な音が聞こえて、麻生の方を振り返った。


「こんなときにごめん、もらっちゃった」


そして麻生は自分の携帯画面をあたしに見せた。


そこに写ってたのは、空を見上げているあたしだった。


『ちょ、何してんの?』


「…なんかきれいだったから」


……そんなストレートに言われたって困るんだけど。


麻生は真剣な顔して携帯を閉じた。

ふざけてなかった。


『……悪趣味ね』

「写真撮っただけじゃん」


『…アンタの女の趣味』


真面目に“きれい”なんて言われたの初めて。


なんて言ったらいいかわかんなくなる。



「俺は、見分けてもらえない方がよかったな」


『……違うでしょ』


「なんで」


『比べてほしくなかっただけ。そうじゃないの』


あたしの言葉に麻生はフッと笑って、また目線を落とした。



「砂希ちゃんが言うことって、だいたい当たってるところがちょっと悔しいなぁ」



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