ひねくれ双子の険しい恋路


『だいたい、って何』

「俺は悪趣味じゃないし」

『…そこはどうでもいいから』


あたしはまた空を見上げた。


雨はさっきより少なくなってた。



『…もっと、言えばよかったのに』


「何を?」


『比べないで、って。俺は俺だって』


あたしは空をみていたから、麻生の表情はわからない。


「それで変わるとは思わない」


『一夜よりできること探して頑張ってみたり、一夜より目立ったことしてみたり』


麻生は黙った。


『何でもやってみればよかったの。ダメならまた次。それがダメならまた次』


「…砂希ちゃんたちだってそうじゃないの?」


――うん。

そうだよ。


『あたし達もやった。でも途中で諦めた。別に友達いなくても、お互いと家族がいればよかったの』


「へぇ……」


…でも。


『ここで朝日と再会して、一夜と会って、あたし達はちょっとだけ変わったかもしれない』




それで、初めて家族以外の人からの温かさをもらった。




それが、

本当は、

ちょっとだけ


――嬉しかった。




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