ひねくれ双子の険しい恋路



『だからあたしは、嘘でもアンタと付き合ってることにするのやめる』



それは、ちゃんと麻生を見て言った。



「……どういうこと?」


『あたしと麻生の組み合わせは絶対にありえなかった。だから、梨沙も朝日も一夜もあたしを心配してた』


もう心配かけたくない。


「じゃあ一夜の周りは…」


まだ言うか、それを。


『それ、アンタには虚しいだけじゃない?

自分で言ってたよね。

“嘘で手に入れたヤツなんて友達って言わない”』


「……」


『あたしはここで、他人で初めて見分けてくれるヤツに会った。家族でも幼なじみでもなくてね』


強引なとこあるし

でも愛想ないし

何考えてんのか意味不明で


……悪口あげたら止まんなくなりそうだけど。



『だからアンタも大丈夫』


まだ転校してきたばっかり。

この学校の人数しらないでしょ。


これだけの人数の中に、1人はいると思う。



「……本当に大丈夫だと思う?」


『あたしは思う。後はアンタ次第』


あたしは、麻生にちょっとだけニッと口角をあげてみせた。

でもすぐに背を向けた。


あ。

雨がやんでる。


濁った雲の切れ間に、青い空が垣間見えた。


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