ひねくれ双子の険しい恋路


「さて、もうそろそろかな」


『……何が?』


――バタバタバタ


なんか足音が近づいてくる。


今授業中だよね。



――バァンッ


すごい音をたててこの空き教室の扉があいた。


「授業中なんだからもっと静かに来てよ。センセーにばれちゃうじゃん」


いつも通りの口調の麻生静夜と、


「はぁ、はぁ、はぁ」


息切れしてる……麻生一夜。


―――何で?


って最初に思ったけど、すぐに思い出した。


あたしが一夜から逃げたときのことを。

なんか気まずくなるのかと思いきや、


「おい、静夜」

「なにー」


一夜はあたしをチラッと1回だけ見てからすぐに麻生(静夜)に話しかけた。


「砂希に何もしてねぇだろうな」


息切れしながら麻生に近づいていく一夜。

…なんかその目怖いよ。


少し久しぶりに名前呼ばれた。

あたしに対してじゃないけど。


「今は何もしてないよ。ねぇ砂希ちゃん?」


『…え、ああ』


2人が何のことをしゃべってるかまだよく理解できない。


けど、まあ麻生とはただ話しただけだから頷いた。




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