ひねくれ双子の険しい恋路


「“今は”ってどういうことだ」


「まぁちょっと前科があったり」


一夜は麻生の胸ぐらをつかんでいた。

睨んでいて、怒った低い声だった。

麻生はヘラヘラ笑いながら怒ってる一夜を見てた。



――ダンッ

「って…」

「言えよ、何した」


一夜が麻生を壁に打ち付けた。


え、ちょっと何してんの!?

これはさすがに驚く。



「その時の俺、砂希ちゃんなんかめちゃくちゃになればいいんだと思ってさ」


今、わかった。

話の内容はあの時のことだ。


でも、それは反省してた。

ちゃんと謝ってた。


「…で?」


だけどあたしは何も口を出せない。


一触即発のこの教室――。


「押さえつけてキス未遂」


――バァンッ、ガタガタ!!

けど、すぐに爆発した。



一夜が麻生を殴って、

殴られた麻生は隅にあった机の塊にぶつかって、その机の山を崩した。



なんか、やっぱ男だなって思った。

女子の呼び出しで叩かれた時とは比べ物にならない。

自分が殴られたわけじゃないけど、見てるだけで心臓がバクバクする。


「いてて…。

あの時、いつもクールな砂希ちゃんが怖がっちゃってさぁ。

まあその後見事に膝蹴りで逃げられちゃったんだけどね」


麻生はまたヘラっと笑った。


なんか…。

さっきあたしと話してた時の態度と全然違う。


なんでこんな…一夜を挑発するような。












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