ひねくれ双子の険しい恋路
一夜は、あたしをじーっと見てた。
でも、とりあえずは…止まった。
「それ、いつのことだ」
『えっと…』
「金曜日だよ」
一夜がしたあたしへの質問に、静夜が答えた。
それに一夜が睨む。
「金曜日屋上で手首赤くして、震えながら俺を振り払ったのは静夜が原因なんだな」
『それは…』
そうかもしれないけど…。
でも、あの時は混乱したし…。
「まあそういうことになるね」
――グッ
あたしはまた腕に力を入れた。
麻生の挑発に、一夜が動いてしまうと思ったから。
『もうやめて、麻生』
これ以上、一夜を挑発しないで。
どうしてそんなことしてんの。
わざわざ殴られに行くような…。
「一夜が俺を殴ったの、初めてだなあ」
麻生は殴られた頬をさすりながらどこか違うところを見てる。
「こっちだって痛ぇんだよ」
一夜も違うところを見て目をあわせなかった。
でもその口調から、あたしはちょっとホッとした。
たぶん、もう殴らない。
よかった、止められて。