ひねくれ双子の険しい恋路
「まぁこれでチャラにして、とはいわないけど」
麻生はボソッとつぶやいた。
ひとり言のように。
――でも、聞こえちゃった。
そういうことだったんだ。
『あたしは、麻生と付き合ってるフリはもうやめる』
麻生の目を見てきっぱりと言った。
そのとき、麻生はあたしに視線を戻した。
「……そうだね」
「…はぁ?」
麻生は自然に目線が落ちる。
一夜は、何のことだ?って顔してる。
「俺が脅してた」
「……」
「俺と付き合わないと、一夜と朝日から周りの人たち奪っちゃうよって」
「…おい」
麻生は淡々と一夜に説明していく。
一夜の表情は険しくなる。
「梨沙ちゃんには呼びだされてることをバラすってね」
「……目的はなんだ」
「だた一夜を苦しめたかっただけさ」
麻生はフッと小さく笑った。
…自分を嘲笑するかのように。