ひねくれ双子の険しい恋路
「なら俺を攻撃すればいいだろ」
「それじゃ意味ない」
「…なんでだ」
「本人より、周りを攻めた方が効果的だろ?」
「……」
麻生の言葉に黙った一夜。
「だから砂希ちゃんに目を向けたんだけど…」
麻生はそう言ってあたしを見た。
そして、
「俺がいかに虚しいことしてるか教えられちゃったよ」
と、言葉をつづけた。
麻生は…もう止まれるんだろうか
小さく笑う麻生を見て思った。
昔から一夜の後ろを追いかけて、追いかけて。
羨ましくて、悔しくて。
でも今まで走ってきた。
前を走っている一夜に石を投げて苦しめるだけの道を。
決して、追い越せない道を。
追い越せないのは、それが一夜の道だから。
いくら妨害されても、一夜はその道だけを走っていたから…だと思う。
もう気付いた?
自分のじゃない道を走ってることに。
『気付けた…?』
あたしはそうっと麻生に問いかけた。
「…そうみたいだ」
その問いかけに、優しく答えてくれた。