ひねくれ双子の険しい恋路


―――……。


静かな教室に、2人。


どうしたらいいかわからない。

“あとで話す”とは言ったけど、何から話せば…。



「砂希」


――ドクン。


久しぶりに、あたしにむかって呼ばれた名前。


…一夜の、声。


『な、に』


「教えろよ、全部」


鋭い目。

低い声。


それはすべてあたしに向けられている。


『――アイツが転校してきて少ししたころに…』


あたしは話し始めた。


簡単に、短く。

でも、理解できるように。


話している間、一夜とは顔をあわせなかった。


…あわせられなかった。


―――――
―――――


「…それで、全部か」


『これで、全部』


あたしは、静かに一夜の次の言葉を待った。




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