ひねくれ双子の険しい恋路
「もう手首は平気なのか」
『あ、うん。まあ』
いろいろ考えてたから、曖昧な返事しかできなかった。
「お前を苦しめて、悪かったな」
一夜はあたしの手首をそっと離して言った。
まだ謝るか…って思った。
けど、多分。
今回一番苦しんだのは一夜かもしれない。
こうやって、一夜のせいじゃないのに自分で責任感じて。
あたしが静夜とのことを言わないで心配かけて。
静夜をあんなにしたのは自分だ、と責めて。
いろいろ考えて、背負って。
『一夜だって苦しかったんでしょ、昔から』
あたしの言葉に、一夜は驚いた。
『静夜からきいた。アイツの昔を』
「…それは静夜の過去だろ」
2人の過去を全部知ってるわけじゃないけど。
『まあ確かに。でも、一夜だって気にしたんじゃないの、静夜と比べられること』
「……」
一夜は何も言わずに、あたしから顔を背けた。
『どっちもたくさん苦しい思いしてるんだからお互いさま』
静夜も何か吹っ切れたみたいだし、もう終わりにすればいいのに。
『もう肩の力抜いたら?もう背負わなくていいんじゃないの』
一夜は、あたしの方に顔を向けた。
だから、今度はあたしが笑ってやった。
さっきの一夜と同じように。