ひねくれ双子の険しい恋路


「……砂希」


『ん?』


今日は秋晴れ。

だけど風は冷たい。


「やっぱりあたし達はもう少し努力するべきだったと思う…?」


梨沙は前を向いて歩く。

あたしも前を向いて歩く。


目線は、交わらない。



『……さぁ』



どこからか、冷たい風が入ってきた。



「あたしも、わからない」


長年こんな感じで生活してきたあたし達双子。


見分けられないことが当たり前、周りに友達がいないのも当たり前。


梨沙が隣にいて、当たり前。



『…ま、いつか自立する時がくるよ』



神谷砂希、として。

神谷梨沙、として。


それはあたし達が望んできた事。


――なのに。



「…そーだね。今更過去の事言ったって変わらないもんね!」


『そうそう』



なんだか心が揺らいでるのは、どうして?




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