ひねくれ双子の険しい恋路
「宮木さーん、ちょっとー!」
「あ、はーい!!それでは、失礼します」
宮木さんは、体育館からクラスメイトに呼ばれて行った。
『ヒーロー、だってね』
「うっさいな」
照れてる梨沙。
「普通の事しただけじゃん…」
梨沙は小さな声で言った。
『優しいねー梨沙は』
「何、バカにしてんの?」
『そんなわけないでしょ』
「じゃーニヤニヤしないで」
『ニヤニヤなんかしてないじゃん』
「だって笑ってる」
梨沙の顔は少し赤くなってた。
なんか、梨沙は素直になった。
中学の時より、笑うようにもなった。
やっぱ朝日のチカラ…かも。
でも、宮木さんの前で笑ったのは意外だったな。
確かに「ヒーロー」ってのはおもしろかったけど。
キーンコーンカーンコーン…
「あ、鳴ったよ砂希」
『ホントだ』
「入ろ」
ほんの今、あたしに怒ってたのにニコッとした梨沙。
…あたしは、立ち止った。
あたし達が周りに張ってるバリアが外れたら?
見分けてもらうように工夫したら?
コミュニケーションを取ったら…
――きっと。
あたしは梨沙に置いていかれる。