ひねくれ双子の険しい恋路
あたしはなんとなくボールを取りに行った。
それは梨沙も一緒で。
翔が昔からバスケやってたから相手したことある。
だから嫌いじゃない。
「ん」
『ありがと』
梨沙から一つボールを受け取る。
…てーん、てーん、てーん。
小さな力でボールを床に落とす。
跳ね上がったボールをまた手で床に落とす。
久しぶりだな、この感触。
「「久しぶりだね」」
梨沙と、かぶる。
クスッと笑った。
「「やっぱり?」」
なんか、安心する。
なんだろうな。
てーん、てーん、てーん。
ボールをつきながらゴールまで少し歩く。
――ポスッ
さらっとした音が聞こえた
見ると、ボールがどこにもぶつからずに綺麗にゴールへ吸い込まれていった。
隣を見れば、ニッと口角を少し上げた梨沙。
その下を見ると、そこはスリーポイントライン。
『にぶってないね』
「みたいだね」
梨沙は一言あたしに言ってボールを取りに行った。
ヒュッ
あたしもその場からやってみる。
――ポスッ
梨沙の時と同じ音がした。