ひねくれ双子の険しい恋路


「ねぇ!!」


突然後ろから声がして、反射的に梨沙とあたしは振り返った。


「「……」」


声が聞こえたほうには女子が2人いた。

そしてその1人が、



「神谷梨沙は、どっち?」




……どストレートにきた。

ストレートすぎる。




あたしは梨沙と顔を見合せた。


そしてまず梨沙が口を開く。

 ・・
「梨沙に何の用」



あたし達は、初対面にはこっちからは名乗らない。


だから惑わせる。


相手を見極めるためにも。


「じゃあ貴方は砂希の方なの?」



『さぁ?
そうとは限らないかもよ』


次にあたしが口を開いた。

むこうはいきなり呼び捨て。なんかやだ。


でも、きっと他に呼び方が思いつかなかったんだな。

あたしたちどっちも神谷だし、どっちも女だし。



でもやっぱり気に入らない。


目の前の女子は2人して顔を歪めた。



が、あたし達に話しかけて来た方は表情を戻して、よりいっそう険しくした。



「真面目な話なの。冗談抜きの」



またあたしと梨沙は顔を見合せてお互いに軽くうなずいた。


「「とりあえず内容」」



そんな真面目な顔するほど大事な話なんか、なんであたし達なんかに。


……面識ない人だし。


初めて喋ったし。




「あたしは、神谷梨沙に頼みがあってきたの」







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