ひねくれ双子の険しい恋路
「「頼み?」」
さすがに反応しちゃう。
このあたし達に近寄ってきたかと思いきや“頼み”?
「だから、お願い」
……真剣な目。
後ろの子も同じ目。
――覚悟をきめたような。
「……あたしが梨沙」
隣の梨沙が声を出した。
……そうすると思ってた。
「わたしは渡辺麻弥(わたなべまや)。気付かなかったと思うけどクラスは神谷さんたちと同じ」
自己紹介された。
確かに知らなかった。
別にクラスの人と関わってなかったからだと思う。
「あたしはこの子の友達で樋口菜々」
「…神谷梨沙」
『神谷砂希』
梨沙は一言名前だけ。
だからあたしもつられて言った。
すると。
「単刀直入に言う。
あたしと勝負してほしい」
渡辺麻弥の声は高くもなく低くもなく。
でも、響いてた。
男子は変わらず騒いでる。
女子はほとんどがあたし達を見ていた。
……初めてだ。
こんなこと。
梨沙も驚いてた。
他の人にはわからないだろうけど。
「……どうして?」
驚いてた梨沙が問い掛けた。
「これが頼みなの。もしあたしが勝ったら……
福田くんと別れて」