ひねくれ双子の険しい恋路



ガコン、パサッ



入、った……。


「ナイス砂希っっ」


梨沙の声が鮮明に聞こえた。


ポイントが、加算される。

麻弥と菜々の顔が一瞬歪む。


点差は1。


あたしの3ポイントによって。



でも、勝ったわけじゃない。

気は抜けない。


これは、チャンスだ。



でも今ボールを持つのは麻弥。


やばい。


でもこれを決めないと負ける。


残り時間はあと25秒。



さらに点差を離して確実に勝ちに行こうとする麻弥と菜々を、


あと一回のシュートを狙うあたしと梨沙が追う。



梨沙が必死に麻弥を追う。


あたしの近くには菜々がいる。


麻弥と戦わなきゃいけないのは梨沙。

渡さないんじゃなくて、奪わなきゃいけない。


取り返して梨沙っ


ダンダンッ!!


あたしが心で強く思った瞬間、梨沙の大きな足音が体育館に響いた。


『梨沙っっ!!!』

「砂希ーーっ」



あたしは大きな声で梨沙を呼んだ。

梨沙もあたしに気付いた。



「菜々、止めて!!」


態勢を崩した麻弥の必死な声が聞こえる。





梨沙は、


麻弥からボールを奪った。





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