ひねくれ双子の険しい恋路
それに驚いた麻弥は、あたしの近くにいた菜々に叫んだ。
梨沙は必死で取り返して、精一杯あたしにパスを出した。
それでバランスを崩した梨沙は、膝をついた。
『梨沙っ!!走れ!!!』
あたしは叫んだ。
こんなに大きな声を出したのは初めてだった。
それに梨沙も驚いたのか、目を大きく見開いてからすぐに立った。
時間、ない。
あと10秒、
菜々が止めようとあたしの前に立ちはだかる。
抜く。
抜かないと、いけない。
ここにいる4人はみんなバテてる。
でも、もうこれを決めるか防ぐかで決まる。
ダンッ!!
菜々の右に抜ける、
菜々も右側に動く。
が、あたしは瞬時に切り替えて菜々の左側に抜けた。
『梨沙、いけっ!!!』
――5
おもいっきり梨沙にむかってボールを投げる。
フォームなんて、知るか。
――4
――3
梨沙がボールを持ってジャンプした。
――2
ボールが梨沙の手から離れていく。
――1
ポスッ
ピィーーー!!!!
00:00になったタイマーが、
この勝負に終わりを告げた。