ひねくれ双子の険しい恋路



『終わ、った…』

「うん…」


梨沙とあたしはその場に突っ立っていた。




「……悔しいけど、負けは負け、ね」


麻弥の息切れした声が聞こえて、バッと後ろを振り返った。



「約束通り、朝日とは別れない」


梨沙は息を整えて言った。

菜々がゆっくりと麻弥の隣に並んだ。


「ごめん、麻弥……」


菜々は涙目で今にも泣きだしそうだった。


「菜々のせいじゃないよ。一緒に試合してくれてありがと」


麻弥の優しい声で、菜々はポロリと涙をこぼす。



「菜々ってば、ホント負けず嫌いなんだから」


「「それは麻弥もでしょう」」


あたしは思わず口をはさんだ。

そしたら梨沙とかぶった。


麻弥は驚いて目を見開いた。

菜々もびっくりしたのか泣きやんであたし達を見てる。




「じゃあ、あたしも約束通り福田くんは諦める」




麻弥の目に濁りはなく、

まっすぐに

ただまっすぐに


梨沙だけを捉えていた。




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