ひねくれ双子の険しい恋路


麻弥を見ると、その目は少し潤んでいた。



「……じゃあ負けたあたしはどうすればいいの?」



麻弥の強気がどこかへいったような弱い声だった。



「あたしに聞かないで。自分のことでしょ」



梨沙は麻弥を突き放すようにぴしゃりと言った。


それに反応したらしい菜々はムッとした。



「………。


確かに」



麻弥は、梨沙の言葉に一瞬考えこんでからそれに肯定した。




キーンコーンカーンコーン……



昼休みの終わりを知らせるチャイムが体育館に鳴り響いた。



「あ……終わりだ」


そう言ったのは菜々。



「うん、おわった」


麻弥はふんわりと菜々に笑って見せた。


「麻弥……」


菜々は、心配そうに麻弥を見つめる。




「大丈夫だよ、菜々。

変なこと聞いてごめん。もう勝負は終わったのにね」


麻弥は梨沙に言った。


「別に」


そっけなく答える梨沙。




「ホント愛想ないのね。

そんなんじゃいつか福田くんも呆れる」



麻弥は口角を少しあげて言った。





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