ひねくれ双子の険しい恋路
「砂希、何事?」
梨沙は、ゲーム機をとじて不思議そうな顔をしていた。
『んー、なんか変な男子が教室から出てっただけ』
「ふぅーん。誰?」
『麻生、って人らしい』
「何、“らしい”って」
『周りが言ってるの聞こえた』
「あたしらには関係ないか」
梨沙が席に着いたから、あたしも席に着いた。
……あの麻生って人、変な人だった。
クラスメイトのどうでもいい小声を黙らせた。
変な人だけど、女子に人気があるのはすぐに分かった。
180㎝はあるだろう身長に、長すぎず短すぎずの黒髪、整った顔立ち。
絶対女子の騒ぎそうな男子だったから。