ひねくれ双子の険しい恋路


梨沙は一瞬目を見開いた。

あたしも少し驚いた。



「じゃああたし、好きにさせてもらうから。福田くんとられても文句言わないでよね」



麻弥はニッと歯を見せて笑った。



きっと、誰から見ても、

梨沙と朝日は絶対別れない。

2人の仲には入れない。



……それを、麻弥もわかっているのかもしれない。



それでも“諦めない”と、勝てそうもないライバルに宣言するのは


ただの強がりじゃなくて、

麻弥の強さと朝日への本気の気持ちだと思った。



「そんなことあり得ないけどね」



梨沙が、小さく小さく笑った。

そして、


「……ひとつだけ。勝ったあたしの言うこときいて」



意外な言葉が梨沙から出てきた。



「……いいよ。約束は取り消しになったからね。

ただ、できる範囲でなら」



麻弥はふっと笑って梨沙の言葉を待った。





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