ひねくれ双子の険しい恋路



あたしはゆっくり携帯を閉じた。


きっと梨沙もわかってる。


もう梨沙は大丈夫。



あたしはまたノートを取り始めた。

その行動は梨沙も同じだった。



―――ブー、ブー。



携帯からさっきまでと同じ振動が伝わった。


梨沙?



<どうした>



たった4文字。


アドレスを見なくても誰かなんてすぐ分かった。


あたしは思わず携帯からバッと顔をあげて、このメールの差出人を見た。


そいつは、机の下で黒い携帯をいじっていた。




《……一夜にアドレス渡したっけ》



あたしは、なぜか少し震える指でそう送った。


“どうした”の4文字のことにはには触れないために、わざと逸れたことを返した。


登録してあるから名前も表示されてるけど、あたしの記憶じゃたぶん1回くらいしかメールきたことない。

する必要もなかったしな。


<前に朝日からもらった>



……正直すぎる。


前って、かなり前じゃん。
夏にあたしを屋上に呼んだあのとき。



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