ひねくれ双子の険しい恋路



『…………』



な、んで。


なんで梨沙が、それを言う、の?



キーンコーンカーンコーン……



チャイムが、なった。

教室の時間はすすんでいく。


あたしの時間は止まってる。



「あ、ごめん!!

なんか変なこと言ったね!!気にしないで、忘れて?」



今度は、梨沙が笑った。

さっきの言葉を隠すかのように。



『あ、うん。気にしてないよ』


あたしも、なんとか笑った。

表面で、「気にしないで」という梨沙の言葉を受け取った。


心では受け止めきれずに、ずっと繰り返される。




“いつか砂希が離れていくんじゃないかって怖くなるの”




どうして、あたしが?


それは梨沙の方でしょ?


…どうしてこんなことまで同じこと考えてるの?



ねえ、梨沙。


あたし、

梨沙がわからなくなりそう。





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